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これまた久々の丕趙。
よろしければつづきからどうぞ。
「趙雲?貴様何故ここに。」
「え?曹丕殿?!」
曹操の命で国内の村を視察していた曹丕の前に蜀の将である趙雲がいた。
「曹丕殿こそどうしてこんな国境に近い村に?」
「質問に質問で返すな。」
「あ、すみません。」
「それで何故この村にいる?」
「えっと、それは………。」
言いにくいことなのか、中々言おうとしない。今日は一段と寒いせいで吐く息が白い。空を見ると太陽は厚い雲に覆われ、今にも一雨降りそうな天気だ。
「………はぁ、おい。」
痺れを切らした曹丕はお供に耳打ちする。聞き終えたお供の男性は曹丕に一礼するとどこかへ走っていった。そして趙雲の腕を引っ張り歩き出す。
「曹丕殿?」
「とりあえず宿屋に行くぞ。今日はこの村に泊まるのだろう?」
「えっと、特には考えてなかったです。いざという時は野宿しようと思っていたので。」
「今夜は雨が降りそうだが。」
「野宿は慣れていますから。」
「…そんなどこかへ急ぐ用なのか?」
「いえ、別段急いでるわけでは。そんな急を要することならまだ馬を飛ばしてます。」
趙雲の言葉に曹丕の眉間の皺が更に深くなる。今日の趙雲は少し変だ。応答はしっかりしているのだが、どこか的を射ていない。心ここにあらずといった様子だ。
「とにかく今宿をとりに行かせた。今日はここに泊まって行け。」
「…………。」
「趙雲。」
その時、冷たいものが肌を撫でた。やはり雨が降ってきた。それでも動こうとしない趙雲を無理矢理連れて行こうとした曹丕の視界に入ったものは、透明な滴ではなくて。
「……雪か。」
空から次々と落ちてくる白い結晶。手を伸ばすと手の平に落ちた雪はすぐに溶けてしまう。後には冷たさしか残らない。
ふと振り向くと趙雲もじっと雪の降る空を見ていた。雪を写す瞳少しだけ揺れた気がした。
「………もうすぐ蜀と魏で戦が起きるでしょう。」
「……。」
魏と蜀は同盟を結んでいるわけでもない。むしろここ数年平和だったことが不思議なくらいだ。
「あなたがたと戦うことに抵抗があるわけではありません。所詮私は一端の武人。主の為に命を堵して戦うだけです。でも。」
趙雲の腕を離して向き合うように正面に立った。俯いて表情は見えない。そのせいなのか曹丕より身長が高いはずなのに、小さく見える。
「でも、戦えばどちらにしろ必ず大切な人を失ってしまう。それをわかってて戦うのが……。」
辛いのです―――
「……………。」
雪が降っているせいか周りには人一人いない。ただ、津々と降る雪だけが二人の間に落ちていく。
握る手が震えているのは寒さのせいなのか。
「………趙雲。お前は、そんな簡単に何かを諦めるような男だったのか?」
「………………。」
「私はたとえ最期になったとしてもその現実に抗い続ける。絶望した時が本当に歩みを止めてしまう時だからだ。」
鎧越しに趙雲の肩を掴む。ただでさえ寒いのに、鉄で作られている鎧は逆に熱く感じる程冷たかった。
「お前もそうではなかったのか。絶望的な状況の中から光を見出だすような奴だろう。ならばこの現実からも見つけてみせよ。お前が望む先を。」
すると、趙雲は前に倒れこみ曹丕の胸におさまった。ゆっくりと背中に手を回すと、くすくすと小さく笑う声が聞こえた。
「まさか、あなたが慰めてくれるとは思いませんでした。」
「慰めたつもりはない。」
「素直じゃないですね。」
「お前が言うな。」
「………ありがとうございます。」
「とにかく宿へ行くぞ。体が芯まで冷えてしまった。」
「それは大変です。風邪を引いては大変です。」
「………誰のせいだと思っているんだ。」
こんな小さな光がやがて運命をも変える大きな光となるように。
同じ時を共に過ごす今を、胸に刻もう。
やがて来るであろう現実に抗う為に。
あとがき
いつになくネガティブな趙雲。
天気悪いと思考も自然とネガティブになりますよね。
そしてラストは書きはじめからだいぶ日を置いたのでわけわからない状態に(汗
話しが繋がっているのかさえ危うい(-.-;)
色々ごめんなさいm(_ _;)m